
| 日本陸軍の自動貨車を代表する車輌がこの九四式六輪自動貨車である。 昭和8年、陸軍自動車学校より自動車工業と東京瓦斯電気工業の両社に協同設計による六輪自動車の製造を依頼された。 設計分担はエンジン、ボンネット、ダッシュボード回り、ステアリング、前車軸を含む前半は自動車工業が担当し、後半のサスペンション、リアーアスクルは東京瓦斯電気工業が担当した。 当時商工省で決定された標準形式自動車の部品と出来るだけ共通化したのが特徴である。 エンジンはXA型ウオーム駆動で運動は良く、取扱いも簡単で極めて丈夫、不斉地通過性能も優秀なため、第一線輸送車輌のみならず各種の特殊応用車として広く珍重された。 後にディーゼルエンジン搭載型が開発され、ガソリンエンジン搭載型を甲型、ディーゼルエンジン搭載型は六輪自動車乙型と呼ばれた。 当時の国産車は劣悪な性能と思われているが、この九四式六輪自動貨車にはそれが当てはまらない。 製作工程での中間検査基準が採算度外視の厳しいものであり、各車毎に路上行軍テストを2回合計400km行うシステムや、ギアなども手仕上げによる現物合わせの精密さで信頼性も高かった。 車輌価格の原価計算は公表されていないが普通の民間型トラックの3倍以上といわれている。 |
| 九四式六輪自動貨車 諸元 | ||
| 甲型(ガソリンエンジン搭載) | 乙型(ディーゼルエンジン搭載) | |
| 総重量 | 5,300kg | |
| 搭載量 | 1500kg | |
| 乗車人員 | 3名 | |
| 全長 | 5,430mm | |
| 全幅 | 1,950mm | |
| 全高 | 2,200mm | |
| 最低地上高 | 280mm | |
| 最高速度 | 65km/h | |
| 総排気量 | 4,390cc | 4,850cc |
| 標準出力 | 43ps/1,500rpm | 43ps/1,200rpm |
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| 全身の写真。 博物館では展示車輌の間隔が狭い為、説明用の写真を複写したもの。 この写真を見て6輪自動貨車なのになぜ4輪なの?と思われるでしょうが、 戦後民間に払い下げられた際、利便性を考え4輪に改造されたそうです。 |
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| 特徴あるフロントマスク | |
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| ボンネット部分 | 方向指示器に注目 |
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モデラーならこのホイールに注目!! この車輌は純正のホイールを使用していない。 HJ誌75/3号の五十嵐平達氏による九四式6輪自動貨車の説明では、陸軍正式の車輌はタイヤとホイールは34×6が標準で、ホイールの孔は正円の8個、ホイールナットもいすゞ系では8個であるとしている。 |